Technology
カギケノリで、牛のメタンを減らす。
海に生える赤い海藻が、牛の胃の中で起きている反応を止める。10年ほど前から世界中の研究機関が確かめてきたことです。
Asparagopsis
カギケノリという海藻
温かい海に分布する紅藻です。含まれるブロモホルムという成分が、牛の胃(ルーメン)の中でメタンをつくる微生物の反応を、最後の段階で止めます。飼料に少量混ぜるだけで働くのが特徴です。
What is Asparagopsis
カギケノリとは
カギケノリ(学名:Asparagopsis taxiformis)は、熱帯から亜熱帯の海に分布する紅藻の一種です。高さは10〜30cmほど。日本では鹿児島や沖縄などの温かい海域で見られます。
なぜ牛のメタンを抑えるのか
牛は胃の中の微生物の働きで草を分解します。その過程で、メタン生成菌と呼ばれる微生物がメタンをつくり、その多くがゲップとして大気へ出ていきます。
カギケノリには、ブロモホルムという有機ハロゲン化合物が多く含まれています。この物質がメタン生成の反応を最後の段階で止めるため、飼料に少量混ぜるだけでメタンの発生を大きく抑えられると考えられています。
ブロモホルムは他の海藻もつくりますが、細胞内にはあまり残りません。カギケノリは腺細胞という特殊な細胞にこれを蓄えるため、他の海藻より高い効果が期待されています。
どのくらい減るのか
オーストラリアで行われた肥育牛の試験では、飼料の0.2%(有機物比)にカギケノリを加えることで、メタン発生量が最大98%減少したと報告されています。米国で147日間行われた別の試験でも80%を超える削減が報告されています。
※ いずれも第三者による公開研究の結果であり、当社製品の効果を示すものではありません(Kinley et al., 2020, Journal of Cleaner Production 259: 120836/Roque et al., 2021, PLOS ONE 16(3): e0247820)。削減幅は海藻の成分濃度、添加量、基礎飼料の内容によって大きく変わります。
実用化に向けた課題
効果が示されている一方で、実際の畜産現場で使うには次の課題が残っています。
- 安定して大量に供給するための養殖技術
- 揮発しやすい有効成分を逃がさない加工・保存の方法
- 長期間与えた場合の家畜への影響評価
- 飼料添加物としての公的な認可
- 生産者が導入できる価格
ONFOODSは、このうち加工・製剤化と認可、そして生産者が導入する理由づくりに取り組んでいます。
参考
Evidence
研究で分かっていること
最大98%
飼料の0.2%(有機物比)にカギケノリを加えた肥育牛で報告されたメタン発生量の削減幅
Kinley et al. (2020) Journal of Cleaner Production 259: 120836/90日間の肥育試験
80%超
米国で147日間行われた肥育試験で報告された削減幅
Roque et al. (2021) PLOS ONE 16(3): e0247820
※ 上記はいずれも第三者による公開研究の結果であり、当社製品の効果を示すものではありません。カギケノリを原料とする飼料添加物は、現時点で各国において公的な認可を取得していません。削減幅は海藻の成分濃度、添加量、基礎飼料の内容によって大きく変わります。
R&D
研究開発
論文で示された削減幅を、そのまま牧場で再現できるわけではありません。有効成分は揮発しやすく、保管や加工の途中で失われます。飼料としての形、保存性、給与のしやすさ、そして安全性。実装に必要な条件を一つずつ埋めているところです。
鹿児島大学との共同研究
家畜の飼養管理を専門とする研究室と組み、給与設計と評価を進めています。
認可に向けて
日本では、飼料に加える資材は飼料添加物として指定を受ける必要があります。ONFOODSは、指定申請に向けた安全性に関する試験とデータ整備を進めています。
※ 配合・加工の具体的な仕様は非公開です。